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ネタバレなしでは語れない

映画大好き。感想はネタバレしないと語れないので、思いっきり結末にふれています。

ロザーナ

祝福のムードに包まれた再集結の時を経て、吉井さんが「勝負の年」と言った今年、一発目に鳴らされた新曲「ロザーナ」。
勝負の年の幕開けにふさわしい、決意を感じさせる曲として響いた。

キーボードで始めまるイントロに、正直、初めは若干の違和感を覚えた。ただ、そこにギター、ドラム、ベースが絡んでくると、一気に曲が転がりだす。


冒頭の歌詞「フワリフワリ乗っかった 黒いサルサのような 祝い のろし上げて 祝福の乾杯だよ 踊ろう ロザーナ」は、「祝福のムードに包まれた再集結の時」を表しているように思う。
そこに留まることなく、彼らは「長い旅」に出るのだ。
「長い旅」で思い出すのは、113本のパンチドランカーツアー。ツアー終了後、休養の期間を経て作成されたアルバム「8」。その中にある「DEAR FEELING」を、「ロザーナ」を聞いて思い浮かべたのは、同じフレーズがあるからだ。
「ふわりふわりと音をたてずに」
歌詞に「心の羽根」とあることから、「DEAR FEELING」では、羽根が舞い落ちる様子が思い浮かぶ。音も立てずに、誰にも気づかれないように。
「ロザーナ」では、「サルサ」のフレーズから、踊る女性のスカートが翻る様を想像した。祝福の乾杯をする大勢の人たちの視線を一人占めするように、彼女は舞うのだ。その女性がロザーナなのかもしれない。彼女は自信に充ち溢れている。誰にも気づかれないようになんてできない、もっと自分を見てほしいと、堂々と踊るのだ。
と、勝手に他の曲と並べてこじつけ。そのこじつけは続く。

「問題ない そう問題ないよ 太陽もうなずいたよ」と慎重な様子もうかがえるが、この後に私が最も惹かれた歌詞が来る。

「神様にしかチェスは動かせないの?」

疑問の形を取っているが、ここからは自らがチェスの駒を動かすのだという、意志が伝わってくる。神様が用意してくれた運命というものに、従うも従わないも自由、それを自らの意志で選びとっていくという思い。その旅の中で、「凍り付くような悲しみ 溶けるほどの喜び」といったような様々な感情を味わいながら、「答え」を探すのだ。
ここの「迷い続けた答えはなんて言ったの?」という歌詞は、後述するが、これが彼らの出した答えのように思う。

「ロザーナ」中最大の謎、「覗いてキャベツの中」。急にキャベツ、なぜにキャベツ?
気になって調べてみたら、キャベツに花言葉があることを知った。
「巻いた葉の中に利益のある『宝物』が入っているようなイメージから、利益」が花言葉だという。西洋では中に赤ちゃんが入っているとイメージされるとのことで、実は、これを知る前に、ツイッターのTLにキャベツに乗った赤ちゃんの写真が流れてきて、ちょっと驚いたのだ。
覗いた中にあるのは、宝物、赤ちゃん=新しい命。吉井さんがモバイルサイトの中で、ロザーナは「新しい自分」の象徴であるかもしれないと書いていたが、そのことが伝わってくる。そのことは続く「大きな卵の殻 割れて現れた魂が 歌った」でより明らかになる。

この歌詞を聞いて真っ先に思い浮かんだのは、渡辺あやさん脚本の朝の連続テレビ小説カーネーション」のワンシーン、直子覚醒だ。大阪から東京に出て美術の学校に通うことを決めた直子だが、着て行く服が決まらず、高校の制服で上京する。姉に馬鹿にされながらも制服で通い続ける直子は、ある時自分は何者か、自分は洋服を通じて何を表現したいのかに気がつく。その時象徴的に使われるのが、卵が割れるという表現だ。その直前、子供のころから聞いていただんじりの音、お母ちゃんのミシンの音、そして自らが手を動かして描くデザイン画の鉛筆を走らす音が重なりあう。それらの音は直子の内側で鳴っている音なのだ。それが頂点に達したとき、卵が割れる。直子の中で何かが目覚める。その後の直子は、自分の好きな格好を堂々とする。母親にお化け、姉にオウムと思われようが、誰にどう思われようが関係ないのだ。
他の曲どころか、バンドとは全く関係のない、自分の好きなドラマを引用してのこじつけ。楽しい。
そして、「大きな卵」=「BIG EGG」と、東京ドーム公演とかけていて、吉井さんのお得意の遊び心がのぞく。

つぼみの中、キャベツの中、卵の中。内側で温めていた「新しい命」は、自らが積み上げてきた音を鳴らすことで、その姿を表に現す。それが、「答え」だ。
先述した、「迷い続けた答えはなんて言ったの?」がここに繋がる。答えは自分の中にあって、それを答えとして発見するのも自分自身ということ。

そして曲のハイライト、「ドアを開けたら 見たような見たことない景色が キレイな色で塗りなおされて見えた」
だから、私はTHE YELLOW MONKEYを聞くのだ。同じような毎日が違って感じられる、そんな感覚をくれるから。

「ロザーナ」から受け取るメッセージは、自分たちは自分たちの信じた音を鳴らし続けるということ。やっぱり彼らは現在進行形だ。
デビューの日に当たる、5月21日には、ベストアルバムをセルフカバーしたアルバムが発売される。過去の音源が今の彼らの音でどう鳴らされるのか楽しみだし、「追憶のマーメイド」が入っているのがさらに期待を高める。
そして、吉井さん曰く「新しいファーストアルバム」でも、その音を聞かせてくれるという。楽しみだ。