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ネタバレなしでは語れない

映画大好き。感想はネタバレしないと語れないので、思いっきり結末にふれています。

お嬢さん

第三部になったとき、これ以上のどんでん返しがないようにと、そればっかり祈っていた。スッキと秀子に幸せになってほしいと思っていたから。


これはMADMAXFRだと思った。女性が自分の意志で、女性同士の連帯で解放を勝ち取っていく映画。We are not thing映画。


騙す側と騙される側であるはずの二人が、次第に心を通わせていく。叔父の上月によって外界と遮断され、広大な屋敷の中だけで生きてきた秀子。屈辱的な内容の本を朗読させられ、男性たちの前で見世物のように扱われてきた秀子。今いる世界が世界のすべてだと思いこんでしまったら、そこから逃げ出すことは容易ではない。まず、逃げ出すという考えすら浮かばないかもしれない。それでも、秀子は藤原に計画を持ちかけ、自らの意志で屋敷から、上月から逃げ出そうとする。
スッキもまた、詐欺師だった親に早くに死なれ、自身も詐欺を繰り返して生きている。大金を手にしたらそんな生活に別れを告げて、新しい場所でやり直すつもりでいた。
誤算は、秀子だった。秀子にとっても誤算はスッキだった。自らの欲望のために、騙そうと思っていた相手に惹かれていく。


第一部で、藤原と結婚したら夜をどう迎えていいか不安だという秀子に、スッキは手ほどきをする。ニ部になったらわかるのだが、秀子は知識はあるのだ。だから途中で態勢が逆転して、秀子が積極的になった時、スッキが「なにも知らないお嬢さまがどうして」ってうろたえるのがユーモアがあっておかしい。おかしいけど、悲しい。
終わった後、藤原との結婚をそれでも勧めるスッキを、秀子は思わず叩いてしまう。ようやく出会えた心を通わせられる相手、スッキに拒絶された悲しみに秀子は自殺を図ろうとする。それを止めたのはスッキだった。互いの計画を告白した後、秀子がスッキを連れていったのは、朗読が行われる部屋。
上月の仕打ちを聞いたスッキは、怒りに身を震わせ、手当たり次第本をぶちまけていく。秀子を、大切な人を傷付けた本を。最初はあっけに取られて、その姿を見ているだけの秀子だったが、怒りの収まらないスッキが、床にあった水槽の中に本を蹴りいれていくのを見て、控え目ながら同じ行動をとる。
我慢してたけど、ここで涙腺崩壊。
秀子を屋敷につなぎとめる、見えない鎖を断ち切ってくれたのはスッキだった。こんなことは間違ってると、はっきり拒絶していいのだと、こんなことさせるのは許さないと、怒りを表明してくれた。
その後、藤原にばれないように手を組む二人。屋敷の塀を越えるのをためらう秀子に、スッキはトランクを積み重ね階段を作ってやる。屋敷の外に広がる草原の中を走る二人の姿は、本当に美しかった。涙でよく見えてないんだけどね。
そして第三部へ。藤原目線進んで、2人が引き裂かれてしまったらどうしよう、それはいやだ、二人には幸せになってほしいと祈った。そればかり祈ってた。

ミステリーは推理をせずに、手のひらで転がされて、そういうことか!と驚くのが好きな見方。そこも綺麗に騙されて、面白く見られた。