ネタバレなしでは語れない

映画大好き。感想はネタバレしないと語れないので、思いっきり結末にふれています。

どうしても行かなきゃいけないライブが追加された人生

「どうしても行かなきゃいけない女子プロレスの試合」とあって笑った。

久しぶりに雨宮まみさんの人生相談「穴の底でお待ちしています」を読み返した。熱中できるものがなく、習い事に合コンに資格取得にと手当たり次第始めてみたがどれも続かなかったという相談者。相談者とは逆に、何にでもすぐ熱中できるタイプだという雨宮さんが、ご自身の体験を交えて答えていく。そこに出てくる言葉。
その後の「お前解説でもやるんかって話ですよ。ただの客なのに」との突っ込みにも笑う。

去年THE YELLOW MONKEYが復活して「どうしても行かなきゃいけないライブ」が人生に追加された。
何かに熱中していると、ふと、こんなことしていていいんだろうという不安がよぎることがある。他にやることがあるんじゃないか、同年代の女性が当たり前のようにしていることもできていないのに、こんなことしている場合なのか、と。

雨宮さんは、「本物の熱狂というのは、そういう「これでいいんだろうか?」を一瞬忘れさせてくれるもので、大げさな言い方になりますが、人生の虚しさや理不尽さに対し「それがどうした」と言ってくれるようなものだと私は思います。私はその瞬間が大好きなので、見境なくその瞬間のために、時間もお金も突っ込みます。」と書く。
だから私は、「どうしても行かなきゃいけないライブ」に行くのだ。

熱中できるものがないという相談者に、雨宮さんは、みんなと同じことが好きじゃなくてもいいし、静かに過ごすのが好きなら、理想の静かな場所を探したり、田舎に越すためにお金をためるとか、そういう方向の好きなことをする、があっていいと思うと寄り添う。
悩み相談に答える雨宮さんは、決して相談者の考えや価値観を否定しない。どうしてそう思うのかをご自身なりに分析して、複雑に絡み合った悩みを一個一個に分解して、でも、雨宮さん自身の答えを押し付けることもしない。そのスタンスが好きだった。
人生の進み方は自分にしか決められないと分かっていても、誰かに助けてもらいたくなる。そんな時、一刀両断で悩みを切り捨てられても、わかるわかるあなたは悪くないって抱きしめられても、うわーやめてーって思う。世間一般の考え方で切り捨てられても、それは分かってるけど、それでも自分は悩んでるし、いや、だからこそ悩んでるし、わかるわかるって言われても、あなたに分かられてたまるかって思う。
簡単に答えなんて出ないのだ、簡単に進む道なんて分からないのだ。こういう考え方もあるよ、そんなに自分を責めることはないよと、同じ目線で伝えてくれる雨宮さんの文章が好きだった。

TVBrosに書かれた記事で、雨宮さんもTHE YELLOW MONKEYのファンだったと知った。バンドに対する思いに、特に吉井さんの書く詞に対する表現はぐっとときた。
もう叶わないことだけど、雨宮さんが書くTHE YELLOW MONKEYをもっと読んでみたかった思った。

「これでいいんだろうか?」と悩んだとき、私はTHE YELLOW MONKEYの音楽を聞いて、DVDを見るだろう。お気に入りの映画やドラマを見るだろう。雨宮さんの文章も、また読むだろう。